「サッカーは足を使うから足をしっかりトレーニングしておくことが大切」と思っていませんか?
確かに東京大学研究チームのデータで、各年代の日本代表レベルの選手は、トレセンにも選ばれていない選手と比較すると〈太もも裏と内もも〉の筋肉の発達が顕著に高いというものがあり、私が受けたセミナーでその東大チームの先生が、「優れた選手を作りたいなら、太もも裏と内ももの筋肉を鍛えるのは大切になる可能性がある」と言われていました。
太もも裏の筋肉であるハムストリングスの発達は、ストップとダッシュで主に使い、内ももはボールを蹴る時に立ち足と蹴り足共に内ももを大きく使います。
サッカー経験者の畑的にこのセミナーを受けた時には、「優れたサッカー選手は、サッカーをしていてその筋肉が自然と発達したのであって、その2つを鍛えてもサッカーでうまく使えないとパフォーマンスは上がらない」と強く感じたのを覚えています。
この考えは今も変わりません。
太もも裏と内ももをは両方とも骨盤に付着していて、骨盤から上のポジションで機能の仕方が変わります。骨盤がずっと後傾位だったり、骨盤と背骨がしなやかに動かない選手は、この2つの筋肉が使いにくくなり、太もも前面や外側面を主に使うパターンとなります。
サッカー選手の競技能力向上のためには、〈サッカーの動きに何が必要か〉を分析することが大切です。
ボールを蹴る、ヘディングする、ボールキープする、横や前後や斜めにストップしてダッシュする、50mダッシュしてまた戻る能力など多様です。
単に太もも裏と内ももを鍛えるトレーニングをするのではなく、目的とする動作の中で、全身と協調させるトレーニングのほうが大切です。そうできれば、自然と内ももと太もも裏の発達が見られます。
例えば、強いボールを蹴る選手は、膝から下の振りが速いです。その速い振りを力として正確にボールに伝えるためには、腕と体幹、足との連動が必要になります。腕だけギプスをはめると、どんな選手でもボールへの伝える力は弱くなります。
ヘディングが強くなるためには、ジャンプ力、落下点を読む能力などが必要ですので、ジャンプ力を上げるトレーニングと空間認知能力を鍛える必要があり、スクワットだけしていてもそれは不充分となります。
よって、ある程度の体幹力だったり柔軟性は必要ですが、サッカーの競技能力を向上させるためには、その動作を分析してその動作に直結できるようなトレーニングがとても重要になります。
くびれ美人代表 畑紀寿